第14回 受賞作品紹介

物語部門

最優秀賞

『ゆうちゃんのノート』藤田 陽一

物語部門 選評

文房具を題材にした童話はクレヨンや鉛筆などよくあるのですが、この作品のユニークなところは、消しゴムの消しカスを取り上げたことです。捨てるはずのカスをゆうちゃんが残しておく理由が胸にひびきます。消しカスは心のノートという言葉も秀逸です。外見とは裏腹に美しい気持ちが詰まった消しカスが愛しくなりました。

選考委員 山本 省三
審査風景

こどもの部

優秀賞

『銭湯男子』坪山 朋來

物語部門 選評

主人公は少し繊細すぎる男の子。学校にも行きにくい。みんなが自分を見ている気がするから。家のお風呂場も嫌い。窓から見える庭の木がお化けみたいにみえるから。そんな彼がお父さんが勧めてくれた銭湯にはまり、それをきっかけとして、自分の世界を広げていく。複雑なストーリーを四百字詰め原稿用紙六枚に詰め込んだ腕前に感心。

選考委員 細谷 亮太

佳作

『ぼくのまほうの虫』淺野 智博

『おもいでゆき』佐渡 櫂人

大人の部

優秀賞

『きょうはあかまる』岩崎 まさえ

物語部門 選評

主人公は「カレンダー」です。カレンダーは自分のおなかに書かれている家族の予定を全て把握しています。でも今月最後の日曜日に、「あかまる」がついている……。この印はなに?カレンダーを通して家族の日常がいきいきと描かれています。「あかまる」の正体には思わず笑ってしまいました。身近なものから発想したステキな物語です。

選考委員 すとう あさえ

佳作

『まきおでんち』中村 瑞子

『かぜの子の足あと』かし たづこ

絵画部門

最優秀賞

『I want to see a rainbow. Just once.』やぎ ひさこ

絵画部門 選評

画面全体に現れる深い色彩のなかに、細部で金色を緻密にちりばめた、いくつかのモチーフは、不思議で美しい世界を創っています。古典的だけれど新しく卓越した表現技術は、くり返し眺めても、そのたび新鮮な発見があり、観る側に色々なストーリーを導き出させています。物語と合わさって、どのような絵本になるのか楽しみになる高水準の作品です。

選考委員 坪内 成晃
審査風景

こどもの部

優秀賞

『すてきなうたごえだね』河畑 杏音

絵画部門 選評

迫力のあるトラの絵。
口を開けてキバを見せていますが良く見ると、真剣な目をした真面目そうなトラではありませんか。なんと歌っています!
周りに描かれたお花が、トラの歌声が素敵である事とトラが歌うのを楽しんでいる事を感じさせてくれます。実際の歌声を聞いてみたくなる素晴らしい絵だと思いました。

選考委員 花田 睦子

佳作

『星がだいすき!ぼくのガオガオーン!!』増田 隼士

『小さくなってラーメンへ』榎本 朔太郎

大人の部

優秀賞

『ワニパンツ』わび みよ

絵画部門 選評

絵を見た瞬間、ニヤッとしてしまい、楽しくおおらかな気持ちになりました。
風になびいて干してあるパンツは、ワニのお気に入りでしょうか。
どんどん、お話が広がっていきそうですね。
空の色が、地面から上まで、べったりと同じではなくもう少し色の濃淡を考えて、空気感と風を感じさせたら、ワニの気持ちも生きてきます。

選考委員 かさい まり

佳作

『優しい水面』月井 菜生

『ヒルデさんのひみつのにわ』こうの かなえ

日本新薬特別賞

『深海魚たちのおしゃべり』もも

『猫シェフのおかしなお菓子たち』佐藤 美千子

第14回 選考委員紹介

日本新薬こども文学賞 選考委員の紹介です。

山本 省三(やまもと しょうぞう 絵本・童話作家)

プロフィール
神奈川県生まれ。医薬品メーカーのコピーライターを経て、絵本をはじめ、紙芝居、童話等の創作に携わる。文とさし絵の両方を手掛け、絵本では『月をめざしてしゅっぱつ!』(小学館)、『みんなをのせて バスのうんてんしさん』(講談社)、『おてんとうさまがみてますよ』(PHP)などがある。『動物ふしぎ発見』シリーズ全5巻(くもん出版)で、第34回日本児童文芸家協会賞特別賞、『深く、深く掘りすすめ!〈ちきゅう〉』(くもん出版)で第1回日本子どもの本研究会作品賞を受賞。現在、一般社団法人日本児童文芸家協会理事長。

細谷 亮太(ほそや りょうた 聖路加国際病院 小児科 顧問)

プロフィール
1948年、山形県生まれ。72年、東北大学医学部卒業、聖路加国際病院小児科勤務。77~80年、テキサス大学MDアンダーソン病院がん研究所小児科にクリニカルフェローとして勤務。80年、聖路加国際病院に復職し、94年小児科部長、2003年副院長、2014年から顧問。専門は小児血液・腫瘍学。俳人(俳号は喨々)としても活躍するほか、エッセイやコラムを多数執筆。主な著書に『医師としてできることできなかったこと』『小児病棟の四季』『いつもいいこと探し1、2、3』ほか。

坪内 成晃(つぼうち しげあき 京都精華大学名誉教授)

プロフィール
1944年京都市生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)卒業。京都精華短期大学(現京都精華大学)助手、京都精華大学講師、助教授を経てデザイン学部ビジュアルデザイン学科 イラストレーションコース教授。2010年学長就任。京都精華大学創立時より一貫してビジュアルデザイン教育に携わり、数多くのクリエイターを輩出。専門はイラストレーション、ポスター、舞台デザイン、装丁等。

すとう あさえ(絵本・童話作家)

プロフィール
東京に生まれる。お茶の水女子大学卒業。幼児教育番組の制作を経て絵本の世界へ。『ざぼんじいさんのかきのき』(岩崎書店)、『はしれディーゼルきかんしゃデーデ』(童心社)、『れいちゃんのきせつのせいかつえほん』(のら書店)『おいしい行事えほんシリーズ』(ほるぷ出版)他。『はじめての行事えほんシリーズ全13作』(ほるぷ出版)で第45回日本児童文芸家協会賞特別賞、『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(のら書店)で産経児童出版文化賞受賞。日本児童文芸家協会常務理事、学校法人駒場けやき学園理事長。

かさい まり(絵本作家)

プロフィール
北海道生まれ。北海道芸術デザイン専門学校卒業。心のゆれを丁寧に表現したお話作りを続けている。読み語り用CDを作り、独自の世界を展開し、全国各地で講演を行っている。作品に、『こぐまのクーク物語』シリーズ(KADOKAWA)、『とくべつないちにち』『ぼくとクッキーさよならまたね』(ひさかたチャイルド)、『くれよんがおれたとき』(くもん出版)、『じてんしゃ がしゃがしゃ』(絵本塾出版)、『ばあちゃんのおなか』(好学社)、『えらいこっちゃのいちねんせい』(アリス館)他多数。日本児童出版美術家連盟会員、日本児童文芸家協会会員。

花田 睦子 (はなだ むつこ 絵本・児童書専門店「京町家えほん館 むむむ」代表)

プロフィール
会社員時代に出会った1冊が絵本の世界にはまるきっかけに、1987年から絵本・児童書専門店「えほん館」を立ち上げる。絵本の販売だけではなく、絵本原画展や、人が集えるお店づくりにも力を入れ、子供たちをはじめ多くの人たちに絵本の素晴らしさを伝える。活動の場はえほん館にとどまらず、児童館や幼稚園、保育所などで、児童教育についての講演を行い、嵯峨美術大学、嵯峨美術短期大学の講師としても登壇。「絵本論」を多くの学生に教える中で「子供と絵本」の大切さを強く感じ、もっとその力を伝えていきたいと活躍の場を広げている。
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