第13回 受賞作品紹介

物語部門

最優秀賞

『もりのぶらんこ』きみきみよ

物語部門 選評

会いたい人に直に会い、話ができない日々が続いています。そのような現状に希望の光を灯してくれるような物語が、今回の最優秀作品となりました。一台のぶらんこを通して友情が育まれていく過程が、やさしくていねいに描かれています。読み終えて、会えなくても心はつながるのだと、静かな感動が胸に広がりました。

選考委員 山本 省三

こどもの部

優秀賞

『亜美の⼤切な⽂房具』野⼝ 結実菜

物語部門 選評

一年生になる亜美ちゃんが買ってもらった文房具のお話。紫色の筆箱隊長が「子どもたちは机の上から私たちを落とすことがある。その時、我慢できるように」と文房具たちと「落ちる」訓練を始めます。文房具たちの生真面目さが面白く描かれ、大切に使おうと言う気持ちが自然に芽生えてきます。作者の文章力と発想力が素晴らしい。

選考委員 すとう あさえ

佳作

『対決︕まおうG』⾼岩 恭⼦

『へびぼう』東條 樹

大人の部

優秀賞

『学校なんか⼤嫌い』知⻤ 遊仁

物語部門 選評

関西弁の話し言葉で書かれた作品。そのテンポの良さがお話の面白さを盛り上げている。ボク(田中健太)の一人称の語りで話は展開していく。読者は上方落語を聞いているかのような気にさせられる。「学校なんか大嫌い」と言っているのはボクではなく犬なのだという意外性もうまい。その犬の気持ちを分かってあげようとするボクも、それほど学校が好きではない。あとは読んでのお楽しみ!

選考委員 細谷 亮太

佳作

『あまやどり』たかさき京⼦

『はらぺこランドセル』⽴岩 由⼦

絵画部門

最優秀賞

『ぼくらの祈りと願い、それはせかいを奏でる詩なんだよ』くまのひでのぶ

絵画部門 選評

この絵は空ですか。海でしょうか。時空を超えた不思議な雰囲気をもった作品です。重なり滲む色調は、透明で深い世界を醸し出しています。記号のような形の舟や鳥などが、計算された構成のなかで紡ぎ合い、心地よい浮遊感を漂わせています。観る人は、画面のなかに自由なイメージを膨らませ、自分だけのストーリーをつくることができるでしょう。空想を喚起する、豊かな感性をもった絵画だと思います。

選考委員 坪内 成晃

こどもの部

優秀賞

『わたしのピアノ』安岡 美織

絵画部門 選評

まっ黒なピアノがドーン!しっかりした足が4本。今にも歩き出しそう。いえ、踊りそうな気さえします。その存在感に一瞬で目をひかれました。誰かに弾いて貰うのを待っているのではなく、自分で歌い楽しんでいる様な所がとても素敵です。自慢気に「ニッ」と笑っている様に見えるのは私だけでしょうか。思いを寄せるとこのピアノの物語が見えてくる気がします。これからも色々な物に命を吹き込む絵を描いていってほしいと願います。

選考委員 花田 睦子

佳作

『虹をわたって宇宙に⾏きたい』伊神 拳⼀郎

『⾚ちゃんから育てたちょうちょ』⽊下 芹華

大人の部

優秀賞

『あかり屋』のむらうこ

絵画部門 選評

はり絵の質感、色合いを生かした作品で、ひとつの世界観ができています。窓の位置から推測する岩の奥行きと、光のあたり具合、角度など気になるところはありますが、細やかな作風に好感が持てます。パソコンや筆で描いた絵にはない、はり絵という独特のあたたかさが感じられるような絵本をぜひつくってほしいです。

選考委員 かさい まり

佳作

『森のダンスステージ』佐藤 美千⼦

『かくれんぼ』柳野 いこ

日本新薬特別賞

『ハンバーガーを持って電⾞でおでかけ』パターソン 楓

『ほんを ひらけば』なかい かおり

第13回 選考委員紹介

日本新薬こども文学賞 選考委員の紹介です。

山本 省三(やまもと しょうぞう 絵本・童話作家)

プロフィール
神奈川県生まれ。医薬品メーカーのコピーライターを経て、絵本をはじめ、紙芝居、童話等の創作に携わる。文とさし絵の両方を手掛け、絵本では『月をめざしてしゅっぱつ!』(小学館)、『みんなをのせて バスのうんてんしさん』(講談社)、『おてんとうさまがみてますよ』(PHP)などがある。『動物ふしぎ発見』シリーズ全5巻(くもん出版)で、第34回日本児童文芸家協会賞特別賞、『深く、深く掘りすすめ!〈ちきゅう〉』(くもん出版)で第1回日本子どもの本研究会作品賞を受賞。現在、一般社団法人日本児童文芸家協会理事長。

細谷 亮太(ほそや りょうた 聖路加国際病院 小児科 特別顧問)

プロフィール
1948年、山形県生まれ。72年、東北大学医学部卒業、聖路加国際病院小児科勤務。77~80年、テキサス大学MDアンダーソン病院がん研究所小児科にクリニカルフェローとして勤務。80年、聖路加国際病院に復職し、94年小児科部長、2003年副院長、2014年から顧問。専門は小児血液・腫瘍学。俳人(俳号は喨々)としても活躍するほか、エッセイやコラムを多数執筆。主な著書に『医師としてできることできなかったこと』『小児病棟の四季』『いつもいいこと探し1、2、3』ほか。

坪内 成晃(つぼうち しげあき 京都精華大学名誉教授)

プロフィール
1944年京都市生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)卒業。京都精華短期大学(現京都精華大学)助手、京都精華大学講師、助教授を経てデザイン学部ビジュアルデザイン学科 イラストレーションコース教授。2010年学長就任。京都精華大学創立時より一貫してビジュアルデザイン教育に携わり、数多くのクリエイターを輩出。専門はイラストレーション、ポスター、舞台デザイン、装丁等。

すとう あさえ(絵本・童話作家)

プロフィール
東京に生まれる。お茶の水女子大学卒業。幼児教育番組の制作を経て絵本の世界へ。『ざぼんじいさんのかきのき』(岩崎書店)、『はしれディーゼルきかんしゃデーデ』(童心社)、『ゴチソウドロ、どこにいる?』(くもん出版)『おいしい行事えほんシリーズ』(ほるぷ出版)他。『はじめての行事えほんシリーズ全12作』(ほるぷ出版)で第45回日本児童文芸家協会賞特別賞、『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(のら書店)で産経児童出版文化賞受賞。日本児童文芸家協会常務理事、学校法人駒場けやき学園理事長。

かさい まり(絵本作家)

プロフィール
北海道生まれ。北海道芸術デザイン専門学校卒業。心のゆれを丁寧に表現したお話作りを続けている。読み語り用CDを作り、独自の世界を展開し、全国各地で講演を行っている。作品に、『こぐまのクーク物語』シリーズ(KADOKAWA)、『とくべつないちにち』『ぼくとクッキーさよならまたね』(ひさかたチャイルド)、『くれよんがおれたとき』(くもん出版)、『じてんしゃ がしゃがしゃ』(絵本塾出版)、『ばあちゃんのおなか』(好学社)、『えらいこっちゃのいちねんせい』(アリス館)他多数。日本児童出版美術家連盟会員、日本児童文芸家協会会員。

花田 睦子 (はなだ むつこ 絵本・児童書専門店「えほん館」代表)

プロフィール
会社員時代に出会った1冊が絵本の世界にはまるきっかけに、1987年から絵本・児童書専門店「えほん館」を立ち上げる。絵本の販売だけではなく、絵本原画展や、人が集えるお店づくりにも力を入れ、子供たちをはじめ多くの人たちに絵本の素晴らしさを伝える。活動の場はえほん館にとどまらず、児童館や幼稚園、保育所などで、児童教育についての講演を行い、京都嵯峨美術大学、佛教大学の講師としても登壇。「絵本論」を多くの学生に教える中で「子供と絵本」の大切さを強く感じ、もっとその力を伝えていきたいと活躍の場を広げている。
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