第12回 受賞作品紹介

物語部門

最優秀賞

『十二支は大変です』梶田 向省

あらすじ

新しい年のはじまりに、干支のねずみのねずおはため息をつきます。「もういやだ!」「ふつうのねずみとしてのんびり暮らしたい」そんな気持ちで神様のもとをおとずれるのですが…

作者

文:梶田 向省
絵:花原 淳子

物語部門 選評

受賞作は、昔話の形を取りながら、盛り込まれているテーマが、まさに今であることに驚かされました。塾や習い事で遊びの時間が取れない子どもたちの気持ちや、仕事を分け合うワークシェアリングの考えなどが描かれているのです。大人顔負けの内容の深さですが、どんな絵本に仕上がるのかとても楽しみです。

選考委員 山本 省三

こどもの部

優秀賞

『くまのすむまち』山口 葵依

物語部門 選評

作者のおだやかさと優しさが文章のすみずみまで届いたようなお話でした。きっと絵本をゆっくりと読む時間を、とても大切にしているなあと思います。お話の中では特に、タオルを貸す時のクッキーの「まほうのタオルはなみだがついてもいいの?」というセリフ。いいですね。クッキーのかわいらしさがでています。ざぶとん、まくら、おふろあがり、なみだふきと一枚のタオルの使い道に、「まほう」という言葉をいれた所に、センスの良さと、子どもらしさ、わくわく感を感じました。このすばらしい作品を大切にして下さい。

選考委員 かさい まり

佳作

『銀ネズミ』幾多 愉希

『まゆ毛が家出した!!』佐野 陽

大人の部

優秀賞

『ねこの手をかりる』南波 はんな

物語部門 選評

「ねこの手もかりたい」ということわざの助詞、「も」を「を」に変えただけでとてもユニークな物語が生まれました。猫のとらが、袋から仕事別の小さな猫の手袋をとり出す場面のなんて可愛らしいこと。「子どもならどんな時にねこの手をかりたくなるか」という視点でお手伝いのエピソードを考えてみると、さらに面白くなると思います。

選考委員 すとう あさえ

佳作

『おもしろおばけ』瀬野 美保

『痛いの、痛いの、飛んで行け』田川 友江

絵画部門

最優秀賞

『夜の森へ』花原 淳子

絵画部門 選評

いろんな生き物たちが、画面に躍動していて微笑ましい絵です。特に、生き生きとした動物たちの顔の表情が、個性豊かで楽しめます。特に目が面白い。木版の平面だけを利用した特徴ある白黒の表現は、かえって奥ゆきを感じさせる構成となっています。抽象的で服を着たようなからだの模様からも、多くのストーリーを紡ぎだすことができ、飽きない作品です。

選考委員 坪内 成晃

こどもの部

優秀賞

『龍宮の使い』糸田川 裕雅

絵画部門 選評

まず、色使いに惹かれました。タイトルも面白く興味深かったです。そして画材をペンや絵の具と使い分けているところもよかったです。 絵を描くということを純粋に楽しんでいると感じましたし絵の上手い下手や良し悪しなどはあまり重要ではなく、「楽しんで描く」という ことは一番大切で一番難しいことだと思います。これからも楽しく創作に取り組んでくださいね。

選考委員 鈴木 潤

佳作

『大きい魚と小さい魚』海老原 敬慈

『おかしちょうだい!』佐々木 春佳

大人の部

優秀賞

『月明かりの出会い』Nikolas

絵画部門 選評

この作者は常連出品の方なのですが、いつもぶれないスタイルを持っています。細かい説明的なものを削ぎとって、ストレートにモチーフと対峙している絵は気持ちがいい。黒い太い縁どりのせいか暗い世界になりがちですが、深い色彩とかすれた調子がかみ合って、現実と非現実との境界を曖昧にしてシュールな透明感を与えます。観る人に案外いろんな空想を起こさせることでしょう。

選考委員 坪内 成晃

佳作

『じいちゃんとイモほり』マミコ

『はねるはひるのつき』杉本 千佳

日本新薬特別賞

『春のおとずれ』植出 美桜

『雨の日の演奏会』岸 千裕

第12回 選考委員紹介

日本新薬こども文学賞 選考委員の紹介です。

かさい まり(絵本作家)

プロフィール
北海道生まれ。北海道芸術デザイン専門学校卒業。心のゆれを丁寧に表現したお話作りを続けている。読み語り用CDを作り、独自の世界を展開し、全国各地で講演を行っている。作品に、『こぐまのクーク物語』シリーズ(KADOKAWA)、『とくべつないちにち』『ぼくとクッキーさよならまたね』(ひさかたチャイルド)、『くれよんがおれたとき』(くもん出版)、『じてんしゃ がしゃがしゃ』(絵本塾出版)、『ばあちゃんのおなか』(教育画劇)、『えらいこっちゃのいちねんせい』(アリス館)他多数。日本児童出版美術家連盟会員、日本児童文芸家協会会員。

鈴木 潤(メリーゴーランド京都 店長)

プロフィール
三重県生まれ。四日市市のこどもの本専門店「メリーゴーランド」で、毎月行うレクチャーやこどもの施設を訪ねるツアーなどの企画を13年間担当する。2007年に京都店の出店に伴い京都に移住、店長を務める。雑誌、ラジオ、テレビなどでの絵本の紹介、子育てにまつわるエッセイの執筆、講演会など、多方面で活躍。2016年、京都に暮らす日々を絵本と結び付けながら綴ったブログ「本を読む日々」をまとめた『絵本といっしょに まっすぐまっすぐ』(アノニマ・スタジオ)を刊行。

すとう あさえ(絵本・童話作家)

プロフィール
東京に生まれる。お茶の水女子大学卒業。幼児教育番組の制作を経て絵本の世界へ。『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(のら書店)で産経児童出版文化賞を受賞。『ざぼんじいさんとかきのき』(岩崎書店)、『はしれディーゼルきかんしゃデーデ』『十二支のおもちつき』(童心社)、『ゴチソウドロ、どこにいる?』(くもん出版)『くませんせいのねているうちに』(ハッピーオウル社)『はじめての行事シリーズ全12作』(ほるぷ出版)ほか。一般社団法人日本児童文芸家協会常務理事、学校法人駒場けやき学園駒場幼稚園理事長。

坪内 成晃(つぼうち しげあき)

プロフィール
1944年京都府生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)卒業。京都精華短期大学(現京都精華大学)助手、京都精華大学講師、助教授を経てデザイン学部ビジュアルデザイン学科 イラストレーションコース教授。2010年学長就任。京都精華大学創立時より一貫してビジュアルデザイン教育に携わり、数多くのクリエイターを輩出。専門はイラストレーション、ポスター、舞台デザイン、装丁等。

細谷 亮太(ほそや りょうた 聖路加国際病院 小児科 特別顧問)

プロフィール
1948年、山形県生まれ。72年、東北大学医学部卒業、聖路加国際病院小児科勤務。77~80年、テキサス大学MDアンダーソン病院がん研究所小児科にクリニカルフェローとして勤務。80年、聖路加国際病院に復職し、94年小児科部長、2003年副院長。専門は小児血液・腫瘍学。俳人(俳号は喨々)としても活躍するほか、エッセイやコラムを多数執筆。主な著書に『医師としてできることできなかったこと』『小児病棟の四季』ほか。

山本 省三(やまもと しょうぞう 絵本・童話作家)

プロフィール
神奈川県生まれ。医薬品メーカーのコピーライターを経て、絵本をはじめ、紙芝居、童話等の創作に携わる。文とさし絵の両方を手掛け、絵本では『月をめざしてしゅっぱつ!』(小学館)、『みんなをのせて バスのうんてんしさん』(講談社)、『おてんとうさまがみてますよ』(PHP)などがある。『動物ふしぎ発見』シリーズ全五巻(くもん出版)で、第34回日本児童文芸家協会賞特別賞、『深く、深く掘りすすめ!〈ちきゅう〉』(くもん出版)で第1回日本子どもの本研究会作品賞を受賞。現在、一般社団法人日本児童文芸家協会理事長。

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