第6回 受賞作品紹介

物語部門

最優秀賞

『ぴっかぴかの いわこちゃん』嵩元 友子

あらすじ

「いわこちゃん」は、丸い岩の女の子。お友達がたくさんいます。ワンピースが汚れないか心配でドキドキしているキツネさん、たてがみが流行らないと言われてイライラしているライオンさんや、お相撲で負けてシクシク泣いているクワガタさんたちを明るい言葉で元気づけます……あちらこちらに言葉あそびをちりばめて、思わず笑顔になる明るい作品です。

作者

文:嵩元 友子
絵:福田 寛

物語部門 選評

いわこちゃんは、お友だちの悩みを解決してあげる、頼りになる岩の女の子です。ところが、ある日から、お友達がぱったりと来なくなり、落ち込んでしまいました。 やがて、それが誤解だったと判明。裏切られた悲しさや勘違いだった時の喜びなど、日常生活の中で起きそうな出来事が、軽快なタッチで描かれていて、最優秀賞にふさわしい作品と高い評価を得ました。

選考委員 岡 信子
審査風景

こどもの部

優秀賞

『みかん』並木 雲楓

物語部門 選評

「みかん」というねこにまつわる不思議な話。サッカーに夢中な主人公に、みかんを病院につれていくようにと、知らない高校生があらわれていう。みかんは死んでしまい「あのとき、病院につれていけば……」後悔するぼくは高校生。ある日、こどもの頃の自分に出会い「みかんを病院に」と全力で説得する。タイムスリップ話だが、時空のもどかしさと深い悲しみが伝わってきた。

選考委員 戸田 和代
審査風景

佳作

『空色の恋』古川 琴音

『ゾウをつかまえたペンギン』村上 敦哉

『かがみもちのみかん』倉澤 淳之介

大人の部

優秀賞

『ふわふわネズミのおしり』吉元 美佳

物語部門 選評

道に迷ったネズミくんは、穴にはまって抜けなくなってしまった“ふわふわのおしり” を一生懸命押して、助けてあげようとします。しかし“ふわふわのおしり”は、ネコだったのです。吉本さんの文章は巧みで、ネズミとネコの気持ちの変化が丁寧に自然に描かれています。信頼と友情の物語。読後感がさわやかな作品です。

選考委員 すとう あさえ
審査風景

佳作

『小さい風』桜木 絵夢

『力もちのフンコロガシ』松岡 一敏

『おなべがランドセル』新橋 千恵子

絵画部門

最優秀賞

『ともだちできた』福田 寛

絵画部門 選評

一瞬で私たちを楽しい気持ちにさせてくれる絵です。いろいろな生き物が登場しているだけで、特別な事件が起こっているわけではないけれど、暖かい空気が漂っています。大胆で自由奔放な色づかいが、協奏曲のように音楽の世界を感じさせます。計算された大小モチーフの配置が、絶妙な空間ドラマを生んでいる。元気を与えてくれる秀作です。

選考委員 坪内 成晃
審査風景

優秀賞

『ゆっくり変わるといいネ。』森 菊五郎

絵画部門 選評

単純明快な絵が、子どもの心を最も引きつけるという好例の作品でしょう。抽象的で有機的な形体の組み合わせが、見る側ひとり一人に物語を紡ぎだしてくれます。全体がひとつ、ひとつが全体というモチーフの断片を分解・結合した構成は、タイトルのように「ゆっくり変わる」時間の扉を開けてくれています。

選考委員 坪内 成晃
審査風景

優秀賞

『おばあちゃんの色糸』千葉 梓

絵画部門 選評

この絵の魅力の一番は物語性。ヒツジに乗ったおばあさんが編み出しているのが色鮮やかな田園風景。どうして、このおばあさんはこんなことができるのか? 空飛ぶヒツジはどこにすんでいるのか? 絵を見る側の想像力をかき立ててくれます。そして透明水彩の滲みを活かした技法が、このファンタジックな作品世界によくマッチしていると思いました。

選考委員 山本 省三
審査風景

佳作

『へんしん りんごカーのたび』高松 咲来

『ねこになってバスケをしたよ』正村 有生

『子どもたちのために四季があり続けますように。』エメリヤノフ ニコラ

日本新薬特別賞

『はしる、ゆめ列車』岩嶋 みゆう

『こんなところに宇宙遊園地?!』廣田 花

第6回 選考委員紹介

日本新薬こども文学賞 選考委員の紹介です。

岡 信子(おか のぶこ 絵本・童話作家)

プロフィール
岐阜県に生まれ、東京に育つ。幼稚園教諭を経て、児童文学作家として独立。主な作品に『海の見える観覧車』(小学館)、『夜あるくお人形』(文研出版)など多数。『花・ねこ・子犬・しゃぼん玉』(旺文社)で日本児童文芸家協会賞を受賞。『はなのみち』は、30年にわたり小学一年生の教科書に、『おおきなキャベツ』は小学2年生の教科書に掲載され、多くの子どもたちに知られている。一般社団法人日本児童文芸家協会理事長を経て、現在、一般社団法人日本児童文芸家協会顧問、及び(社)日本文藝家協会理事。

すとう あさえ(絵本・童話作家)

プロフィール
幼児教育番組制作を経て、絵本の仕事をはじめる。作品に『ざぼんじいさんのかきのき』『にょろへびやのへびくん』(岩崎書店)、『ごうた一年生でしょっ』『タネオがきた』(文研出版)、『一円大王さま』(ひさかたチャイルド)、『はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ』(童心社)などがある。紙芝居に『ぶるるん ぶるた』『ぴよぴよぴよちゃん』など。『子どもと楽しむ 行事とあそびの絵本』(のら書店)で第55回産経児童出版文化賞受賞。 現在、一般社団法人日本児童文芸家協会理事。

坪内 成晃(つぼうちしげあき 京都精華大学名誉教授)

プロフィール
1944年京都府生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)卒業。京都精華短期大学(現京都精華大学)助手、京都精華大学講師、助教授を経てデザイン学部ビジュアルデザイン学科 イラストレーションコース教授。2010年学長就任。京都精華大学創立時より一貫してビジュアルデザイン教育に携わり、数多くのクリエイターを輩出。専門はイラストレーション、ポスター、舞台デザイン、装丁等。現在、京都精華大学名誉教授。

戸田 和代(とだかずよ 絵本・童話作家)

プロフィール
東京に生まれる。『ないないねこのなくしもの』(くもん出版)で児童文芸新人賞、『きつねのでんわボックス』(金の星社)で第8回ひろすけ童話賞を受賞。その他主な作品に『つきよのくじら』(すずき出版)、『かえるのかさやさん』シリーズ(岩崎書店)、『カバローの大きな口』(ポプラ社)、『だんまり』(アリス館)、『バスガエル』(佼成出版)など多数。 現在、一般社団法人日本児童文芸家協会、及び(社)日本文藝家協会会員。

細谷 亮太(ほそやりょうた 聖路加国際病院 小児科 特別顧問)

プロフィール
1948年、山形県生まれ。72年、東北大学医学部卒業、聖路加国際病院小児科勤務。77〜80年、テキサス大学MDアンダーソン病院がん研究所小児科にクリニカルフェローとして勤務。80年、聖路加国際病院に復職し、94年小児科部長、2003年副院長。専門は小児血液・腫瘍学。俳人(俳号は喨々)としても活躍するほか、エッセイやコラムを多数執筆。主な著書に『医師としてできること できなかったこと』『小児病棟の四季』ほか。

山本 省三(やまもと しょうぞう 絵本・童話作家)

プロフィール
1952年、神奈川県生まれ。横浜国立大学にて児童心理学を学ぶ。卒業後、医薬品メーカーのコピーライターを経て、絵本創作をはじめる。絵本の他、童話、紙芝居、パネルシアター、造形、パズル考案など、子どもにかかわるさまざまな分野を手掛ける。 絵本では『おふろでぽっかぽか』(講談社)、『もしも宇宙でくらしたら』(WAVE出版)、童話には『ゆうれいたんていドロヒュー』シリーズ(フレーベル館)などがある。『動物ふしぎ発見』シリーズ全五巻(くもん出版)で、第34回日本児童文芸家協会賞特別賞を受賞している。現在、一般社団法人日本児童文芸家協会常務理事。

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