物語部門
最優秀賞
『あめくんデビュー』
あらすじ
デビュー間近の「あめくん」が、ワクワクしながら下をのぞくと、楽しそうに遊んでいる小さな男の子とそれを優しく見守るおばあさんがいます。毎日見ているうちに二人のことが大好きになったあめくん。
待ちに待ったデビューの前日、男の子がてるてるぼうずをつくり、明日がいい天気になるよう祈っていることを知ってとてもショックを受けます。明日のデビューをとりやめてもらおうと天気の神様にお願いに行くあめくんですが……
大切なひとを思いやる優しい気持ちに心が温まるストーリーです。
作者
文:坂井 敏法
絵:植田 知成
物語部門 選評
今回は、小学6年生(応募の時点)の坂井敏法君の作品が、最優秀賞に輝きました。最終審査委員総てが最高得点をつけるという、異例の結果の入賞です。
主人公はデビュ-をひかえた、生まれたてのあめくん。雨を降らせることに意欲満々のあめくんに、思わぬ事態が起こります。空から見下ろして好感を持っていた小さな男の子が、てるてる坊主を作りおばあちゃんのために“いい天気”を願うのです。ところが、この“いい天気”が、全くの逆発想だったことには、意表を衝かれました。お話を巧みに盛り上げる技術にも秀でた、最優秀賞にふさわしい作品です。

こどもの部
優秀賞
『迷子になった影法師』
物語部門 選評
このお話の一番の魅力は、影法師の持ち主が誰かわからないことでしょう。その持ち主探しがおもしろく、読む人を物語の中に引き込んでくれるのです。また持ち主の特徴が、かなりおかしくて笑ってしまいます。さらに持ち主から離れて15日たつと消えてしまう設定には、はらはらさせられました。結末も意外性があってみごと。短い枚数の中にいろいろな要素を取り入れて、ばらばらにならずうまくまとめあげたことに拍手をおくります。

佳作
『ぼくのふしぎな手』
『楽しい音楽隊』
『おしゃれって楽しい?』
大人の部
優秀賞
『チョッキン屋へようこそ』
物語部門 選評
ヘビくんは散歩の途中、「チョッキン屋へようこそ」という看板をみつけました。木の上から見ていると、クマもウサギものびた毛をチョキチョキチョッキン。そう、ここはキツネさんのお店「かっこよくなりたい人の変身屋」です。この作品の素敵なところは、毛のないヘビくんと、自分の毛を自由にできないキツネさんの、お互いを思いやる優しさです。主人公がおしゃれをしたいヘビくんというのもユニーク。無駄のない文章にも創作力を感じます。

佳作
『ケーキになった庭』
『恋するソラちゃん』
『こんにちは、サメです。』