物語部門
最優秀賞
『ミカヅキとくま』
あらすじ
お昼寝をしていたツキノワグマのこども。
目を覚ますと、なんと胸からミカヅキがとびだしていってしまいます。
こうしてこぐまのミカヅキさがしが始まるのですが……
普段、身近にありすぎて大切さを忘れてしまっている“何か”。
その尊さを問いかける美しいファンタジーです。
作者
文:高橋 佑輔
絵:いとう ゆりこ
物語部門 選評
好きでも嫌いでもなかった胸の三日月模様が、とつぜん逃げ出すという、意外性に富んだストーリー、やわらかくてあたたかな語り口、 全体に流れる上質なユーモアなどが、高い評価を得ました。水たまりに映る月を見て、大切だと気付いた失せ物を胸にすくいとる、情緒あふれるラストも秀逸です。

こどもの部
優秀賞
『こぐまのさかなつり』
物語部門 選評
川へ釣りに出かけたこぐまの兄弟が、仲間の力をかりて釣りあげたのは、それはびっくりのものでした。大きなかぶにヒントを得て書かれた物語かもしれませんが、結末の驚きは、かぶ以上。よく思いついたなあと感心しました。そして驚かせるだけでなく、良かったねといえる終わり方がみごとでした。

佳作
『ふしぎなてぶくろ』
『ユウくんの海』
『万華鏡』
大人の部
優秀賞
『六郎、飛んだ』
物語部門 選評
人の好い鬼が、村の飢饉を救うために、自らの命をもかえりみず、稚拙な羽をつけて高い崖から飛ぼうとする。雷にかけあうためである。 後半の風が吹く奇跡は読む者をほっとさせる。しかし、こうした自己犠牲話はよくあり、新鮮味に欠けるという意見が多かったため、おしくも大賞にはならなかったが、文章に力があり、鬼はどこかに生きていると希望をもたせているところが評価された。構成もしっかりしていて、読んだ後、なにより気持ちが浄化させられる。

佳作
『しゃもじのわがまま』
『ものおきのひみつ』
『ぼくは水たまり』