第2回 受賞作品紹介

物語部門

最優秀賞

『クレヨンたち』山口 みえ

あらすじ

色とりどりのクレヨンたちは、きょうもお絵かきで大いそがし。でも白いクレヨンのしろくんだけは、まだ一度も絵をかいたことがありません。
そんなしろくんがある日、夜空へ飛びだして・・・。クレヨンたちの活躍を描いた、鮮やかな色彩が目に浮かぶ作品です。

作者

文:山口 みえ
絵:松谷 和恵

物語部門 選評

自分のマイナス面を前向きに捉え、夜空にとび出していく白いクレヨン。画用紙とは違った舞台で、存分にのびのびと活躍する積極性には拍手を送りたくなります。暗闇の夜空に映える白、クレヨン達のあたたかい友情の証しのカラフルな花火のラスト、いずれも深く心に残る、最優秀にふさわしい秀れた作品です。

選考委員 岡 信子
審査風景

こどもの部

優秀賞

『ふしぎが森』山野井 莉帆

物語部門 選評

お兄ちゃんとわたしが、ふしぎが森と名付けた場所での虫取りの一日。子どもたちのごく普通の行動が、作者の無駄のない文章とリアルな表現によって、特別な夏の一日としてすくいあげられています。出会った父子連れとの関わりを通して、兄の優しさに気づく妹の心理描写が秀逸。全選考委員から高く評価されました。

選考委員 正岡 慧子
審査風景

佳作

『もう一人のぼく』城下 稔樹

『ルーシーと歌う不思議なスーパーボール』谷古 紬

『冷夏です』髙野 那奈

大人の部

優秀賞

『春の野原の忘れもの』乗松 葉子

物語部門 選評

あたたかく優しい文体で綴られた作品です。母さんぐまが、くまの女の子に話しかける言葉が心にしみます。春の野原で、しろつめ草の花かんむりを頭にのせた、おひめさまのようなくまの女の子。それを見ている人間の女の子。どっちもお母さんが大好き。その様子が目に浮かぶ美しい作品です。

選考委員 戸田 和代
審査風景

佳作

『ひだまりどうぶつえん』栗原 美幸

『きつねのてぶくろ』ひろい れいこ

『りょうていっぱい!』水谷 明

絵画部門

最優秀賞

『ゆめ・かける』松谷 和恵

絵画部門 選評

多様な色を使っているのに、すっきりと美しくまとまっています。配色が優れているからでしょう。馬や星の細かい模様もモダンな味わいがあり、実に楽しい。「この人なら、斬新な絵本に仕上げてくれるに違いない」と、満場一致で最優秀作品に選定されました。

選考委員 後路 好章
審査風景

優秀賞

『ぼくらは翼をもっている』岡本 美子

絵画部門 選評

いろいろな技法を巧みに使いこなしており、審査員から感嘆の声があがりました。翼を持った子どもを軸に、楽しいメルフェンの世界が自由闊達に描き出されています。画業の積み重ねを感じさせる佳作です。

選考委員 後路 好章
審査風景

優秀賞

『壁画の家』なかい さき

絵画部門 選評

エキゾチックな模様の壁。家の中には誰かいる気配・・・。見る人を、絵の中にすっと引き込んでしまいます。大胆に暗部を配し、モノトーンでまとめ、静謐な夜の世界を見事に表出しています。

選考委員 後路 好章
審査風景

佳作

『Hello〜』黒田 さかえ

『ぼく、チエ』石井 純子

審査員特別賞

『ふしぎなバス』牛尾 渡

絵画部門 選評

物語、絵画と併せての応募で唯一、両部門の最終審査に残った作品です。物語からも絵画からもこどもらしさ、純粋さが溢れています。愉快で快活なストーリーと、いきいきとした色づかいの絵が、とても印象に残ります。最後の1席が空席なのも絵のおもしろ味を引き出すポイントになりました。
(日本新薬株式会社 取締役 由良能郎)

日本新薬特別賞

『海のりんごの木』水野 舞夕

『コンサート』鈴木 隆一

第2回 選考委員紹介

日本新薬こども文学賞 選考委員の紹介です。

後路 好章(うしろ よしあき)

プロフィール
1940年北海道生まれ。北海道大学にて教育学を修める。学研、あかね書房、アリス館にて編集長を務める。著書に、研究書「絵本から擬音語擬態語ぷちぷちぽーん」(アリス館)、絵本「うまれるよ うまれるよ」(アリス館) 「もうわらった」(教育画劇) 「おじいちゃんと日の出を見たよ」(佼成出版社)など。現在、白鴎大学・星美学園短期大学・明星大学の兼任講師。国語教科書編集委員(三省堂)。この本だいすきの会会員。乳幼児精神保健学会会員。赤ちゃん絵本研究会代表。

岡 信子(おか のぶこ 絵本・童話作家)

プロフィール
岐阜県に生まれ、東京に育つ。幼児教育科在学中より童話を書き始め、幼稚園教諭を経て、絵本・童話作家として独立。主な作品に『海の見える観覧車』(小学館)、『夜あるくお人形』(文研出版)『おおきなキャベツ』(金の星社)他多数。『花・ねこ・子犬・しゃぼん玉』(旺文社)で日本児童文芸家協会賞を受賞。『はなのみち』(光村図書)は小学一年生教科書に掲載、多くのお母さんと子どもたちに知られている。現在、日本児童文芸家協会監事。

戸田 和代(とだ かずよ 絵本・童話作家)

プロフィール
1939年東京に生まれる。『ないないねこのなくしもの』(くもん出版)で児童文芸新人賞、『きつねのでんわボックス』(金の星社)で第8回ひろすけ童話賞を受賞。その他主な作品に『つきよのくじら』(すずき出版)、『かえるのかさやさん』シリーズ(岩崎書店)、『がたごとごーごー』(文化出版局)、『だんまり』(アリス館)など多数。現在、(社)児童文芸家協会常務理事。

細谷 亮太(ほそや りょうた 聖路加国際病院副院長・小児科部長)

プロフィール
1948年、山形県生まれ。72年、東北大学医学部卒業、聖路加国際病院小児科勤務。77〜80年、テキサス大学MDアンダーソン病院がん研究所小児科にクリニカルフェローとして勤務。80年、聖路加国際病院に復職し、94年小児科部長、2003年副院長。専門は小児血液・腫瘍学。俳人(俳号は喨々)としても活躍するほか、エッセイやコラムを多数執筆。主な著書に「医師としてできること できなかったこと」「小児病棟の四季」ほか。

正岡 慧子(まさおか けいこ 絵本・童話作家)

プロフィール
1941年広島に生まれる。アメリカ系広告代理店勤務を経て、童話・絵本作家となる。日本女子大学にて栄養学を学び、1988年中国西安中医薬研究院に研修留学。中医学理論を学び、以後日本の薬膳の普及に尽力する。著書には『かばんの中のかば』(あかね書房)、『きつねのたなばたさま』(世界文化社)、PHP研究所のおしごとシリーズなど多数。『あなぐまのクリーニングやさん』『きつねのゆーれいコックさん』は感想文コンクール推薦図書。韓国での出版も多い。現在、(社)日本児童文芸家協会常務理事。

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