第1回 受賞作品紹介

物語部門

最優秀賞

『おんぶ おんぶ』三輪 円香

あらすじ

おばあさんに気持ちよさそうにおんぶされている太郎。それを見ていたリス、キツネ、クマたちはだんだんうらやましくなって……。
動物たちとの交流を描いた、心温まる作品です。

作者

文:三輪 円香
絵:津島 タカシ

物語部門 選評

孫も動物も、ごく自然な形で受け入れてしまう、おばあさんのおおらかさ、あたたかさが、ユーモアたっぷりに描かれた秀作です。民話的な語り口と、繰り返しの手法が、内容によく合った、味わい深い作品であると、選考委員全員から、高い評価を受けました。

選考委員 岡 信子
審査風景

こどもの部

優秀賞

『すてきなお花屋さん』吉川 実貴子

物語部門 選評

こんな花屋さんがあったらいいなぁ、と、夢を与えてくれる作品です。ディクシーお ばぁちゃんとお客さんたちとの間で交わされる、いきいきとした明るい会話も魅力にあふれています。

選考委員 岡 信子
審査風景

佳作

『ハムスター脱走大事件』山口 瑞季

『森のはずれに住むねずみ』藤田 優

『とび箱とんで空とんだ』大橋 羅良

大人の部

優秀賞

『はちどりとみつばち』長谷川 進

物語部門 選評

はちどりとみつばちという取り合わせが新鮮です。小さな生き物たちが、自然の恵みを受ける一方、自然の過酷さを受け入れながら、助け合って生き抜いていく姿を、温かい目ざしでとらえています。

選考委員 岡 信子
審査風景

佳作

『はっぱのマークのたぬっきゅうびん』石川 基子

『どうぶつ電車』小林 功治

『わくわく保育園』田沢 五月

絵画部門

最優秀賞

『夜の夢のゾウ』津島 タカシ

絵画部門 選評

選考のため、何作かを並べて鑑賞しましたが、この作品は他を圧倒し、輝いて見えました。ゾウのフォルム、胴体のモザイク、そして画面を走る線の美しさ。選考委員一同が、ぜひ絵本を描かせたいと強く思いました。

選考委員 山本 省三
審査風景

優秀賞

『月夜の案山子』清宮 哲

絵画部門 選評

この作品には、童話の世界があります。絵からさまざまなストーリーを読み取る楽しさがあります。応募作の中では、完成度が高く、力量を感じさせましたが、個性という点で最優秀作品に軍配があがりました。

選考委員 山本 省三
審査風景

優秀賞

『森のメリー・ゴー・ラウンド』山田 和明

絵画部門 選評

メリーゴーランドをモチーフにしていますが、その色合いが深い森を感じさせ、この絵に静けさと安らぎを与えています。子どもたちの表情も穏やかで、この作風にぴったりの原作があればと惜しまれる作品でした。

選考委員 山本 省三
審査風景

佳作

『いいニオイ!』小林 未歩

『そだつ木』水谷 真弥子

審査員特別賞

『アルマジロ』君島 悠太

絵画部門 選評

背景を略して、アルマジロだけに焦点を当てた大胆な描き方が印象的です。アルマジロの野生的な精気を見事に表現した、独特な色彩と筆のタッチも高く評価されました。今後の活躍が大いに期待されます。

選考委員 後路 好章

日本新薬特別賞

『みどりいろ』細矢 智佳子

『ゆめの花』川崎 千尋

第1回 選考委員紹介

日本新薬こども文学賞 選考委員の紹介です。

後路 好章(うしろ よしあき)

プロフィール
1940年北海道生まれ。北海道大学にて教育学を修める。学研、あかね書房、アリス館にて編集長を務める。著書に、研究書 「絵本から擬音語擬態語ぷちぷちぽーん」(アリス館)、絵本 「うまれるよ うまれるよ」(アリス館) 「もうわらった」(教育画劇) 「おじいちゃんと日の出を見たよ」(佼成出版社)など。現在、白鴎大学・星美学園短期大学・明星大学の兼任講師。国語教科書編集委員(三省堂)。この本だいすきの会会員。乳幼児精神保健学会会員。赤ちゃん絵本研究会代表。

岡 信子(おか のぶこ 絵本・童話作家)

プロフィール
岐阜県に生まれ、東京に育つ。幼児教育科在学中より童話を書き始め、幼稚園教諭を経て、絵本・童話作家として独立。主な作品に『海の見える観覧車』(小学館)、『夜あるくお人形』(文研出版)『おおきなキャベツ』(金の星社)他多数。『花・ねこ・子犬・しゃぼん玉』(旺文社)で日本児童文芸家協会賞を受賞。『はなのみち』(光村図書)は小学一年生教科書に掲載、多くのお母さんと子どもたちに知られている。現在、日本児童文芸家協会監事。

すとう あさえ(絵本・童話作家)

プロフィール
お茶の水女子大学卒業。TV幼児教育番組制作を経て、絵本の仕事をはじめる。幼稚園で五感をゆさぶる素材を楽しむ「遊びクラス」を主宰。絵本に『ざぼんじいさんのかきのき』『ちょっぺいじいちゃん』他多数。『ひなたぼっこいし』『じいちゃんのステッキ』が韓国で翻訳出版されている。紙芝居に『ないしょのゆきあそび』『くまくみちゃ~ん』他。『子どもと楽しむ季節の行事とあそびの絵本』(のら書店)で産経児童出版文化賞受賞。現在、(社)日本児童文芸家協会理事。

細谷 亮太(ほそや りょうた 聖路加国際病院副院長・小児科部長)

プロフィール
1948年、山形県生まれ。72年、東北大学医学部卒業、聖路加国際病院小児科勤務。77〜80年、テキサス大学MDアンダーソン病院がん研究所小児科にクリニカルフェローとして勤務。80年、聖路加国際病院に復職し、94年小児科部長、2003年副院長。専門は小児血液・腫瘍学。俳人(俳号は喨々)としても活躍するほか、エッセイやコラムを多数執筆。主な著書に「医師としてできること できなかったこと」「小児病棟の四季」ほか。

山本 省三(やまもとしょうぞう 絵本・童話作家)

プロフィール
1952年神奈川県生まれ。横浜国立大学にて児童心理学を学ぶ。卒業後、医薬品メーカーのコピーライターを経て、絵本創作をはじめる。絵本の他、童話、紙芝居、パネルシアター、造形、パズル考案など、子どもにかかわるさまざまな分野を手掛ける。絵本では『にわとりのおっぱい』(講談社)、『なんじゃもんじゃのいのち』(金の星社)、童話には『うちゅうにんじゃ とんじゃ丸シリーズ』(ポプラ社)などがある。『パンダの手には、かくされたひみつがある』(くもん出版)は厚生労働省社会保障審議会児童福祉文化財に推薦されている。現在、(社)日本児童文芸家協会常務理事。

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