第16回 受賞作品紹介

物語部門

最優秀賞

みけねこマンション小林 想葉

物語部門 選評

生まれ育った森の木が切り倒され、マンションが建てられるのを知った三毛猫の三兄弟。
知恵を絞って、人間との共存の道を探ります。作者は小学生ですが、物語の構成力は大人顔負け。カラスやネズミなど登場する動物たちの配置も見事です。絵本になったら、力を合わせ仲良く暮らすというメッセージがより心に響くことでしょう。

選考委員 山本 省三

こどもの部

優秀賞

『神さまとの約束』宮野 文太

物語部門 選評

主人公のぼくは、クリスマスプレゼントに人生ゲームをもらって大喜び。ところが誰も一緒に遊んでくれなくて、テンションだだ下がり。そんなときに出会ったのが、おじいさんとウサギとカメ。話の流れに勢いがあり、一気に読んでしまった。ラストで、これからは友だちを作ろうと決意する場面が光っていた。

選考委員 松永 正訓

佳作

『ぼくは何者』廣田 琴美

『みんみんせみ』雪下 絵菜

大人の部

優秀賞

『ドクターテディ』えな

物語部門 選評

くまのぬいぐるみが、ある男の子と出会って絆を深めていく様子が目に浮かぶようでした。
成長した男の子との「別れの予感」からドクターテディへと変身する展開は、大変独創的で印象深いシーンを作り上げることに成功しています。子どもたちのかけがえのない笑顔と健やかな未来を願う、温かなメッセージが伝わってくる作品です。

選考委員 北川 チハル

佳作

『まよなかうんえい会社』宮路 尊羽

『どろぼうとバレリーナ』加藤 英津子

絵画部門

最優秀賞

『この世を明るくするためにほほえみを描く』Nicolas

絵画部門 選評

外国風の絵と水彩のタッチがマッチして、センスを感じました。
色数を抑えたのも効果的です。
陰影を考えて、にじみ、濃淡をもう少し丁寧にすると絵が面白くなったでしょう。

選考委員 かさい まり

こどもの部

優秀賞

『まつりにあそびにきたりゅう』井上 元貴

絵画部門 選評

全体に大きく描かれている竜が仰向けになり足を上に投げ出している姿と、小さく描かれた人との対比から、竜の楽しさや喜びが伝わってきます。ただ祭りに来ただけではなく『遊びに』来たことが上手く表現されていると思います。大胆な絵の中にある繊細な部分も魅力的に感じました。これからもどんどん描いて貰いたいと願います。

選考委員 花田 睦子

佳作

『ゆず風呂ペンギン』井上 美和

『お月見露天風呂バス』井上 紫乃

大人の部

優秀賞

『強風』Routashi

絵画部門 選評

この場面の魅力は、何と言っても強風になびく登場者たちと花たちが同じ方向に傾くユーモラスな様です。
背景には風以外何も描かれていないけど、黄色や緑色が塗られた上から赤色が筆でこすられたように描かれているおおらかさがあります。・・・と書いているうちに、強風になびく一人と三匹のおっとりした表情と首をかしげるチューリップたちに見つめられているのに気づいて、ニンマリしてしまいました。

選考委員 西村 正幸

佳作

『花咲くサーカス団』佐藤 美千子

『どうかな?どうかな?おいしいかな?』うつぎ みほか

日本新薬特別賞

こどもの部

『どこから食べる?』のんちゃん

大人の部

『深海探検』ゆじゃり

きらきら賞

こどもの部

『あの雲、ぜんぶマシュマロやったらいいのになぁ』仲川 芽衣

『みんなで花火を見ているよ。お目めもキラキラ』石崎 文乃

『神さまたちの通り道』ひまぐろ

『天使がそらをとぶところ』林 慧衣子

第16回 選考委員紹介

日本新薬こども文学賞 選考委員の紹介です。

山本 省三(やまもと しょうぞう 絵本・童話作家)

プロフィール
神奈川県生まれ。医薬品メーカーのコピーライターを経て、絵本をはじめ、紙芝居、童話等の創作に携わる。文とさし絵の両方を手掛け、絵本では『もしも宇宙でくらしたら』(WAVE出版)、『みんなをのせて バスのうんてんしさん』(講談社)、『おてんとうさまがみてますよ』(PHP)などがある。『動物ふしぎ発見』シリーズ全5巻(くもん出版)で、第34回日本児童文芸家協会賞特別賞、『深く、深く掘りすすめ!〈ちきゅう〉』(くもん出版)で第1回日本子どもの本研究会作品賞を受賞。現在、一般社団法人日本児童文芸家協会理事長。

松永 正訓(まつなが ただし 松永クリニック小児科・小児外科 院長)

プロフィール
1961年、東京都生まれ。1987年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。小児がんの研究で日本小児外科学会より会長特別表彰(1991年)など受賞歴多数。2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。『運命の子 トリソミー』で2013年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』で2019年、第8回日本医学ジャーナリスト協会賞・大賞を受賞。その他、著書多数。

かさい まり(絵本作家)

プロフィール
北海道生まれ。北海道芸術デザイン専門学校卒業。心のゆれを丁寧に表現したお話作りを続けている。全国で講演、読み語りを行い、小学校の国語、道徳の教科書に絵本が掲載されている。「とくべつないちにち」(ひさかたチャイルド)で、タイ・ブックスタートアワード賞、「ムカッ やきもちやいた」(くもん出版)で、児童文芸幼年文学賞、「くれよんがおれたとき」(くもん出版)で児童ペン賞絵本賞、「ばあちゃんのおなか」(好学社)で、けんぶち絵本の里アルパカ賞を受賞。日本児童出版美術家連盟理事長、日本児童文芸家協会会員。ホームページhttp://kasaimari.com/

花田 睦子 (はなだ むつこ 絵本・児童書専門店「えほん館」代表)

プロフィール
会社員時代に出会った1冊が絵本の世界にはまるきっかけに、1987年から絵本・児童書専門店「えほん館」を立ち上げる。絵本の販売だけではなく、絵本原画展や、人が集えるお店づくりにも力を入れ、子供たちをはじめ多くの人たちに絵本の素晴らしさを伝える。活動の場はえほん館にとどまらず、児童館や幼稚園、保育所などで、児童教育についての講演を行い、嵯峨美術大学、嵯峨美術短期大学の講師としても登壇。「絵本論」を多くの学生に教える中で「子供と絵本」の大切さを強く感じ、もっとその力を伝えていきたいと活躍の場を広げている。

北川 チハル (きたがわ ちはる 絵本・童話作家)

プロフィール
愛知県生まれ。保育士を経て作家となる。『チコのまあにいちゃん』(岩崎書店)で2003年児童文芸新人賞受賞。『ふでばこから空』(文研出版)で2019年ひろすけ童話賞、児童ペン賞童話賞受賞。『しずかなしまのだいじな水』(岩崎書店)、『てんこうせいはおはなしやさん』(金の星社)、『しんぱいせんせい』『おかえり、フク』(佼成出版社)、『ポストがぽつん』(アリス館)、『たびいえさん』(くもん出版)他著書多数。日本児童文芸家協会、日本児童文学者協会会員。ウェブサイトhttps://blog.goo.ne.jp/k-chiharu_2006

西村 正幸 (にしむら まさゆき 現代美術作家)

プロフィール
1957年、奈良県生まれ。京都精華大学 美術学部デザイン学科卒業、京都市立芸術大学大学院 版画専攻修了。1988年より名古屋芸術大学美術学部版画コース講師、2008年にアートクリエイターコースを立上げ、2018年に教授を選択定年退職。2020年より京都精華大学 デザイン学部イラスト学科教授、2023年定年退職。現在、中部大学非常勤講師。現代美術作家として展覧会を多数開催。1996-97年、日航財団『空の日芸術賞』を受賞しドイツで研修。1999年度名古屋市芸術奨励賞受賞。
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