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第九回 審査総評

物語部門 選評

最優秀賞 『ことば忍法オノマトペ』 作:冨川 晴名

 オノマトペ忍法を使う忍者が女の子……という設定が、とても新鮮です。さらに『主人公には秘密がある』この書き出しも魅力的で “早く読みたい” という気持ちにさせられます。
 また、 “ザワザワ竹林” “ゾクゾク谷” といった個性的なネーミングもお話を盛り上げていて、高く評価されました。

(岡 信子)

審査風景
審査風景
こどもの部 優秀賞 『冬空からの友達』 作:山口 笑愛

 かかしと雪だるまの交流を描いたこの作品は、作者の弱者へのやさしい眼差しが感じられ、読み終えたとき、じんわりとあたたかい気持ちになりました。とくにかかしと雪だるまの笑いと友情に関する会話には、胸を打たれました。12歳にして、ここまで深く描けるとは驚きです。ぜひこれからも童話を書き続けてください。

(山本 省三)

審査風景
審査風景
大人の部 優秀賞 『“にほんちず”のかくれんぼ』 
作:のだ ますお

 家族が出かけた後、部屋に貼ってあった日本地図のそれぞれの県が、夜中に集まってかくれんぼ!?発想がまず面白かった。望遠鏡そっくりの千葉県がオニである。ハンガーそっくりな青森県は洋服ダンスへ。なかなか見つからない福井県は?うーん、なーるほど……、そんなことってあるかもね、と思わせるとても楽しい作品だった。

(戸田 和代)

審査風景
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絵画部門 選評

最優秀賞 『よるのあしおと』 作:いげた ゆかり

 さまざまなモチーフを断片的にちりばめた、味わいのある絵です。単純化された対象を、深い色調で統一した表現は印象的で卓越しています。色と色、人とものを羅列しているだけなのに、観る側に自由で多くの物語りを想像させる世界がこのなかにあります。その意味で、本作は詩のような愛情やユーモアをもった作品といえます。

(坪内 成晃)

審査風景
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こどもの部 優秀賞 『春(冬眠からのお目覚め)』 作:外山 大翔

 あざやかな緑と茶の対比が美しい作品です。一見シンプルな配色の絵ですが、よく見ると少しずつ階調の異なる色が使われており、この丁寧な筆遣いが作品に奥行きを持たせています。伸びやかなフォルムの熊も可愛らしいですね。見ているこちらも何だか嬉しくなってしまうような、春の気配と爽やかな光を感じさせる作品です。

(鈴木 久美)

審査風景
審査風景
大人の部 優秀賞 『サファリDEサーキット』 作:Coma

 なんと明解で楽しい絵でしょう。こどもや動物の顔や身体がまるで動いているようです。ポップですが少し懐かしい色彩やスタイルは親しみがもてます。平面の一部分をレリーフ状に浮かせて見せる表現は独得で、コンピューター時代にあって、かえって新鮮で優しい作品です。とにかく壮快で愉快な気持ちになります。

(坪内 成晃)

審査風景
審査風景

審査を終えて

 日本新薬こども文学賞選考会は春の恒例行事として私の中にすっかり定着した感がある。さて、今年の物語部門、大人の作品は独創性に欠けるきらいが見られたのが残念。一方、こどもの部には独創性、娯楽性、加えてメッセージ性にも富むバランスの良い作品が複数見られた。絵画部門も力作がそろった。絵本のできあがりに期待したい。

(細谷 亮太)